北海道教科研会報 １０８号　　２００７年２月７日

　　　　　北海道教育科学研究会（会長　内島貞雄北海道教育大学教授）

連絡先アドレス doukyoukaken@hotmail.co.jp ブログhttp://blogs.yahoo.co.jp/doukyoukaken

次回研究会のお知らせ「現代日本社会における思春期の育ちの危機と子育て・教育の共同」

　2月２４日（土）１５：３０〜１８：００、札幌駅北口（北7条西6丁目）のクリスチャンセンターで北海道教育科学研究会第９７回研究会を開催します。

　今回は、『教育』2月号で池田考司が報告している稚内の高校生たちによる母親殺害事件について報告・検討を行います。昨年11月、稚内を訪れ、取材を行った池田から『教育』では書けなかった詳しいことがらについても報告し、その後、稚内の教師たちからの補足報告を受け、間宮正幸氏（北海道大学大学院助教授）から、坂元忠芳氏が考えるべき重要なテーマとして提起している「子どもの悪」について話してくださいます。その後、この事件と思春期の子どもの育ちについて参加者で話し合いたいと思います。

　この間、家庭内での事件が相次ぎ、子ども・若者が加害者・被害者になっています。新自由主義の進行の下、安らぎや依存の場としての家庭回帰の傾向が強まっています。その中で家族間の行き違いによる残念な事件が起こっています。思春期の子どもにとっては家庭・家族は自立のための大切な場ですが、競争圧力や自立できない大人（親）の増加。子育てを孤立して行わざるを得ない地域崩壊状況など、家庭・家族の人間発達援助機能は失われ、事態は事件を起こした子ども・若者を断罪してすむような状況ではありません。現代日本社会における思春期の育ちの危機をどう考えるのか。人の中に存在する＜悪＞を思春期の発達援助の課題としてどう考えるのか。子育て・教育の共同の財産をどう再生・創造していくのかが問われています。参加された皆さんで検討を行いたいと思います。年度末のお忙しい時期かと思いますが、ぜひご参加ください。

北海道教科研第９７回研究会

とき　　　　２月２４日（土）１５：３０〜１８：００

ばしょ 　　札幌市クリスチャンセンター（ＪＲ札幌駅西改札口から徒歩５分。北７

　　　　　　条西６丁目）

ないよう 　 「現代日本社会における思春期の育ちの危機と子育て・教育の共同」

ほうこく　　�@「稚内の少年事件を取材して」池田考司北海道教科研事務局長

　�A「少年との関わりを考えるなかで」稚内の教師

　�B「学校・教師はその時」稚内の教師

　�C「子どもの悪について」間宮正幸北海道大学大学院助教授

さんかひ　　５００円

といあわせ 北海道教科研事務局（doukyoukaken@hotmail.co.jp）

関心をお持ちの方はメールでお尋ねください。事前申し込みがなくても

　　　　　　参加は可能です。

城戸幡太郎、留岡清男、奥田三郎・・・。今、先達から学ぶ時〜北大シンポジウムから〜

　1月１３日、北海道大学大学院教育学研究科主催のシンポジウム「教育実践と教育学研究〜北大教育学部の先達に学ぶ〜」が行われました。

　城戸幡太郎教育科学研究会初代委員長（北海道大学教育学部創設者）、留岡清男教育科学研究会初代事務局長（北海道大学教授、北海道家庭学校校長）、奥田三郎北海道家庭学校校医（北海道大学教授）。戦前、法政大学児童研究所や読書会、小金井学園などで共に研究・実践を行い、戦後、北海道の地に共に移り、研究と実践を行ってきた三人は、北海道大学教育学部の創設と発展、社会福祉活動などで共に歩み続けました。

　シンポジウムでは、間宮正幸北海道大学大学院助教授が城戸幡太郎について、大泉溥日本福祉大学教授が留岡清男について、市澤豊元浅井学園大学教授が奥田三郎について報告しました。内容の濃い報告で短いスペースで詳しい報告を行うことは、城戸たちについての知識の不足もありできませんので、間宮による城戸評価のみを簡潔に紹介することにしたいと思います（当日配布資料を希望される方はお知らせください）。

　城戸幡太郎は、1893年に愛媛県松山市で生まれました。東京大学で心理学を専修し、その後、東大助手となり、ドイツのライプチッヒ大学に私費留学し、帰国後、法政大学教授になりました。1937年には奥田三郎の要請で精神薄弱児施設小金井学園園長に就任しています（法政大学教授と兼務）。1936年に保育問題研究会を結成し、1937年に教育科学研究会を結成しています。その後、ファシズムの脅威が強まる中、仲間を守るため、大政翼賛会に留岡清男とともに加入しました。しかし、政府は民間教育研究運動を敵視し、治安維持法違反の疑いで城戸や留岡を検挙拘置しました。

　戦後、城戸は1946年に国立教育研修所所長になり、教育刷新委員会委員にもなり、戦後民主教育の創造に尽力しました。しかし、戦前の大政翼賛会への加入などもあり、公職を解かれることになり、1951年に工学院大学教授になったすぐ後に請われて北海道大学教育学部創設のため、北海道に来たのでした。城戸が北海道に来たのは、戦前教科研活動の中で訪れて以来でした。

　城戸の研究は戦前の日本においては飛び抜けたものでした。戦前から城戸は実践と結びついた研究というスタンスを一貫して持ち続けたのです。その城戸の活躍が留岡や奥田らの信頼する仲間のおかげで可能であったことも間違いのない事実です。

　間宮は、城戸の先駆性を次のようにまとめています。

　「従来指摘されてきたように、「科学主義」と「生活主義」との統一的把握という点に見られるだけでなく、�@人間生活・生活の座標、�A精神発達、�B子どもの権利、�C文化と歴史、�D生活の表現と演劇化、これらを提示して重視するといった現代の課題に応える豊富な内容を持つ。城戸の研究の全体を把握することは容易なことではなく、背景にあるヨーロッパの思想・哲学・心理学・教育学・社会科学の影響をじゅうぶんに修得しておく必要がある。」「活動した主な時代が1930年代から1960年代であったということの歴史認識も重要である。」「また、不安と孤独、家族と親密性、地域とグローバリゼーションなどの今日的問題に関しては、制限があり検討すべき点が多々ある。その評価には、後の人間発達科学の発展との照合が絶えず求められることは言を待たない。」「然るに、そうした批判的検討にもかかわらず、転換期にある今日の人間発達科学の知見をもってしても、城戸の心理学・教育科学の研究には先駆性を見いだすことができる。」

　城戸は小金井学園の運営など、留岡、奥田とともに実践と研究を同時に行った経験を持っており、そのことが城戸の研究の深さを生み出しています。北海道大学に来た時も、北大幼児園を設立しています。そして、留岡と奥田は、北海道大学教授をしながら、北海道家庭学校の運営・実践を行っています。その中で、城戸は人間生活・生活の座標から教育学研究を行っていく姿勢を貫いたのです。そして、特に家庭学校など、様々な課題を抱える子どもたちへの実践・研究を通して、戦前から持っていた、精神発達と子どもの権利という視点を膨らませていきました。城戸が「教育科学」という言葉を戦前から用い、戦後は「人間科学」という言葉を用いている点にも教育学研究の奥深さが読み取れます。また、城戸の「子どもの権利」へのこだわりは、「児童憲章」の抽象性への批判などにも出されています。

　シンポジウムは、冬休み明けの週末で卒論や修論の提出・発表の時期でもあり、報告者とかつて城戸の教えを北大で受けた者以外は、ほとんどが教育臨床心理学グループ、社会教育グループの学生・院生であったことには若干寂しさも感じました。若い世代の研究者が城戸たちの研究を現代的に再評価してくれることが期待されます。

「受験勉強」を乗り越える英語教育

徳　長　誠　一

北海道稚内高等学校教諭

　読者の皆様は「受験勉強」と聞き、何を想像しますか。

　「無味乾燥な知識を詰めこまれる」「試験が終わったら忘れて良い情報」

と人生における無駄な物という、否定的なイメージを持たれるでしょう。

　多くの良心的な教師は、生徒に有意義な学習を願い、日々試行錯誤しています。

　しかし、無意識のうちに私たちは、生徒に上記のような「受験勉強」のような学習観を伝えてしまっている場合があります。定期考査が結局、記憶力重視になっていないでしょうか。考査後の学習につながっているでしょうか。

　最近では、高校教師が、予備校の授業を聴くという「研修」があります。

　駿台予備学校では、年に数回全国各地で、高校教師向けのセミナーを開いています。その中の講師の一人である、英語科・飯田講師（英文法・英作文）は、このセミナーで高校教師たちが寄せた感想を「丸暗記厳禁主義　英文法道場」というブログ（http://blog.livedoor.jp/eg_daw_jaw/）に載せています。（◎：ブログ　→：徳長のコメント）

◎「こうなるんだから、つべこべ言わずに覚えとけ」式の授業が多かったような気がします。その教え子である私自身の認識も、それと似たか寄ったかであったと思い知らされた思いです。

→こうした被教育体験が相対化されないと、結局詰め込みを再生産されるのです。　

◎英文法を理論的に教えることの必要性を強く感じました。これまでの経験的な指導を見直すよい機会となりました。受験においての英文法指導はかなり重要で、英語学力の形成にとっても欠かせないものであり、今後力を入れて授業に役立てていきたいと思います。

→教師として、英文法を理論的に指導していないのか！！受験でなくても英文法指導はとても重要！

◎受験生に対して、どのように教え、納得させ、理解させるのか興味を持って受講しました。教える技術や解答の導き方ではなく、「何を言ったら」受験生は聞き耳をたてるのか、参考になりました。

→表面的なテクニックが流行がちだが、生徒が納得する説明（論理構成）はやはり緻密であるべき！

◎完了進行形など、どう考えるべきか今まで非常に困難だった所に多く焦点を当てて解説していただき、とても明確な説明の仕方のヒントをたくさん頂くことのできた講座でした。参考書などにあるような表面上の理解ではなく、英語の本質にせまる説明であり、かつ受験生にとっても非常に受けとりやすい解説をどうしていくべきか、大変分かりやすく今後にすぐ役立てられる講義であったと思います。本日は有難うございました。

→教師自身が、英文法の体系を十分に理解していないのかもしれません。残念です。

◎受験生が引っかかりやすいポイントに絞って、またその部分を深く掘り下げて解説していただき、非常に参考になりました。私自身、文法を教えているとついあれもこれもと解説してしまい時間がかかるので、今回の簡潔なご指導法が少しでも今後の授業に取り入れられればと思います。貴重な機会をいただきありがとうございました。

→「あれもこれも解説」生徒は聴いているのか？　「生徒が学ぶ」過程をどう保証していますか？？

ご自身でハンドアウトを創られていますか？　自分で生徒に示す際の「ストーリー」を再構築していますか？？（私は作成しています）

　こうした感想を読むと、高校教師自体が物事の本質を学び、それを生徒に伝えていると言えるのでしょうか。残念ながら、言い難い状況があります。もちろん「受験テクニック」を切り売りしている予備校講師もいます。予備校生の中で、高校の授業より予備校の授業に「本質的な学び」を見いだす人がいます。

放送大学大学院のテキストである、大島・野島・波多野『教授・学習過程論　〜学習科学の展開〜』（放送大学大学院文化科学研究科）の中に「教師の専門性」（p.154）という章があります。

（１）教科専門の知識（subject-matter knowledge）

　　　　　　↓

（２）学びの認識論（epistemology of learning）

　　　　　　↓

（３）教授学的専門の知識（pedagogical content knowledge）

（３）の質を決定するのが（２）です。

　学びの認識論とは「人が学ぶということをどのようにとらえているか、という人の学習に対するモデルであり」、どのようなモデルを持っているかによって、（１）は異なるタイプの（３）の知識へと変換されていくということのようです。例として（２）「学びとは憶えることだ」と「学びとは自発的な知識構築を行うことだ」では生徒の学習結果は変わってきます。

　昨秋、本校の３年生で大学進学を考えている生徒たちが、本格的な受験勉強に励んでいました。英語では、単語帳や問題集を“がりがり”丸暗記しようとしていました。今年度私が授業を担当している学年は、担任学年である高校１年生です。

　私はある日の放課後、受験勉強をしている３年生男子たちとたまたま話をしました。彼らは「英語はすごく苦手なんです…。訳がわからないし」と嘆いていました。そこで教室で黒板を使って英文法の解説を始めました。そのときに留意したことがあります。

　（１）知識の有無を前提にせず、学習者の発想という「考え方」を大事にするようにしました。

　（２）言語のイメージを大事にした方法論で解説しました。（認知言語学が役に立っています）

　（３）訳もわからない知識を詰め込まれる、といった指導法にならないように留意しました。

　彼らは「わかった！　わかった！」と嬉しがっていました。理解した後、彼らに「自分の言葉で理解した事項を表現する」ように指示しました。するとお互いに、学びあいが始まりました。

　この“放課後学習会”で、彼らは自信をつけていきました。

　翌日、３年生を主に担当している英語科の同僚が私のところに来て、授業中の様子を伝えてくれました。

　「彼らは授業中、自分がわかった事項が出てくると『とくさんのおかげだ！』と叫んでいましたよ！　生徒たちのやる気を高めてくれて、本当に助かっています」

　それ以来彼らは、英語に対してやる気を増していったのでした。他の３年生にも個別に指導する機会があり、結果としてやる気を高めるきっかけになったようです。

　今年度の３年生は、一度も授業を担当したことがありません。

　しかし３年生たちからは「センター試験の神様」「できれば３年間英語を習いたかった」というような反応が聞こえてきました。

「本質的な学び」を学習者ができるように、上記の「教師の専門性」を高めていき、「受験勉強」を乗り越えた学習指導の創造が教師に求められています。

　そのためには、教師自身が日々「本質的な学び」を味わうことによる喜びを味わいましょう。「学び」の喜びを生徒と共有する、というスタンスでいると、生徒にもその喜びが伝わります。学び続けている子どもは崩れません。学び続けている教師は、何事にも謙虚になれます。

　スローライフ教育の具体化

　スローライフ教育の具体化の一例として、＜スローライフ交通教育の会＞があります。今回、会長の前田敏章さんに原稿を書いていただきました。

　生命尊重のくらし方と結合した交通教育の創造を

　〜「スローライフ交通教育の会」とは〜

　　　　会長　前田敏章（北海道立千歳高校定時制）

１　前身は「交通教育研究会」

　「スローライフ交通教育の会」（Institute of Traffic and Transportation Education for Slowlife　略称：ITTES）は、「持続可能な社会に向けて、生命・環境・エネルギーの各面に配慮した交通体系の追求と、これを保障し得る人権の尊重、ならびに生活空間の形成に寄与する学校教育の振興と主体的市民の形成」（会則より）を目的に研究および実践を進める会です。

　2000年11月発足した「交通教育研究会」が前身ですが、2006年8月、名称と会則を改め再出発しました。現在、北海道内の高校教員を中心に約25名の会員で研究会の開催、会報発行などの活動を行っています。

　以下、会の設立発起人であり、当初から関わっている者として発足の経緯と理念について述べて、紹介に代えます。

２　愛娘の交通死と「交通安全教育」

　発端は1995年の愛娘（当時）の交通死でした。当時17歳、高校2年生の娘は、学校帰りの歩行中、加害者のカーラジオ操作（いわゆる脇見運転）による前方不注視という重大過失ではねられ、理不尽に命を奪われました。悲嘆と絶望の中で、さらに心を痛めることになったのが、娘の受けた「通り魔殺人的被害」を「仕方のない事故」と軽視する社会の受け止めでした。当時の裁判官は、加害者の罪状について「数秒間のちょっとした不注意であり、往々にありそうな事」と不当な執行猶予判決の理由を述べました。「命の尊厳」をいとも簡単に踏みにじるこのクルマ社会を、被害者の視点から見直したとき、その根底にマインドコントロールされた「クルマ優先社会」が在ることが浮き彫りになってきました。

　翻って、私の勤務する教育現場での交通安全教育の実情を見るとき、意図しないまでも結果としてこの「クルマ優先社会」に無批判な構成員を産みだしているのではないかと自問しました。児童、生徒は、高校時代までの重大な危険に晒されている被害の立場から、免許取得後はいとも簡単に他者をも危険に陥れる加害者予備軍になっているのです。札幌市内のある高校で編集された、青信号で横断中に左折トラックに轢かれた学友の死を悼む文集で、「全てが偶然でした」「注意して行動しても交通事故が起こってしまうのは仕方ないこと」「車によけてもらうのでなく、自分からよけるようにしなくてはなりません」いう文言を目にしたとき、私の危惧は杞憂ではないと強く感じました。

　人命と人権を無視した「クルマ優先社会」の構成員へとマインドコントロールを企図しているのは自動車メーカーです。そしてこれを支える市場原理主義によって無秩序なモータリーゼーションが拡大され、人命、健康、生活、環境、エネルギーなど多くの側面で多大な犠牲を生み続けています。

　学校教育の場では「良き交通社会人」という曖昧な術語使い、「心の教育」に矮小化した「交通（安全）教育」が支配的です。この背景には本田技研が出資した「国際交通安全学会」があり、この潮流の「交通心理学」は、「運転は心の問題」と、無秩序なモータリゼーション拡大がもたらす問題の本質をすり替え、社会が守るべき児童生徒の安全を責任転嫁し、「交通安全教育」を生涯教育に位置づけ、これを徹底すれば被害は防ぐことが出来ると、クルマ社会をバラ色に描きます。こうした立場で、免許取得前教育を学校教育に持ち込み、国民皆免許をさらに志向し、一層のモータリゼーション拡大を促すのです。

３　スローライフ交通教育

　スローライフ交通教育の会は、生命尊重を基本視点として、自動車交通における安全・環境・エネルギーの諸問題を総合的に捉え、これらの負担軽減と、人間性がより発展される豊かな社会を目指します。市場メカニズムによる需給均衡、経済効率を唯一「善」とする市場原理主義が、公共交通体系を衰退させ、郊外型ショッピングセンターの乱立に典型的なスプロール化（土地利用無秩序化）をひき起こし、それが過度の自動車依存へと悪循環し、疲弊した「クルマ社会」へとつながっていることは明白です。

　市場原理主義への対案という意味で「スローライフ」という会名を考案したのは、発足当初からの会員である齊藤基雄氏です。氏は「モータリーゼーション社会を真に問い直すには、単体としての車や道路、ドライバーの危険性といった要素のみ槍玉にあげる手法では限界がある」として、「交通とそれをとりまく社会・経済のありようを、集団レベルのリスク問題として、次代を担う青少年の一人一人が捉えられるよう、生徒の思考を助けること」に重点を置き、「共生の交通社会」をキーワードに「国民皆免許社会」からの脱却を強調しています。

　スローライフ交通教育の理念と実践を創造・発展させ、これまでの「交通心理学」一辺倒の「交通（安全）教育」から転換しなければならないと考えています。現代を生きる教養の一つとして、そして現代社会を総合的に読み解くキーワードとしても「クルマ問題」に焦点を当てた教育カリキュラムを作る必要を痛感しています。クルマ問題は若者にとって身近な興味在るテーマであり、命の教育として、交通権を含めた人権教育として、また環境教育としても重要です。総合的学習の時間などを活用した実践が進み、それが「スローライフ交通教育」として体系化、構造化されるよう地道に研究活動を進めたいと思います。ご協力をよろしくお願いします。（会報や会則等、下記ＨＰで読むことができます。興味のある方は一報下さい）

※「スローライフ交通教育の会」事務局　前田宅　tmaeda@asahi.email.ne.jp　

http://www.ne.jp/asahi/remember/chihiro/site2/mokuji.htm

　＜事務局から＞

　教育基本法が多くの人々の反対にもかかわらず変えられてしまいました。子どものための教育から国家のための教育への転換。「愛国心」など特定の道徳観の押しつけ（洗脳）。教育の中立性・直接責任性を放棄する恐ろしく政治的な、党派的な内容に愕然とさせられてしまいます。

　しかし、この間の教育基本法「改正」反対の動きは、従来の運動を超えた幅広さも見られ、希望を感じた方も多いことと思います。問題は、新教育基本法に対応する法改正をめぐっての取り組みに移ってきています。かつての勤評闘争の時のような父母や地域住民との共同・共闘を組織できない厳しさが今はあります。小野田正利大阪大学教授のイチャンモン研究がマスコミでも注目されるようになってきていますが、困難を抱える人々がイチャンモンをつけられる相手にあたってくる。それに防衛的になることで共同の関係をつくれず、さらなる困難の進行を生む。現場の状況は楽観視できるようなものではありません。

　そんな中で、家庭の危機、育ちの危機。そして、その中で存在している子育て・教育の共同（希望）について、次回研究会では稚内の事例をもとに関係者を迎えて話し合うことを企画しました。

１１月の調査の時の札幌から稚内までの道のりは遠く、当日、札幌まで来ていただくのも大変なことだと感じています。稚内から来られる方々も希望や展望を持って帰っていただける研究会になればと願っています。２４日、可能な方はぜひご参加ください。

　２００６／２００７年度会費２，０００円。８０円切手の郵送でも構いません。会員継続、入会希望の方は手続きをよろしくお願いします。